初週に観てきたのに今更レビューする「機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島」。
ちなみに初週入場者特典は品切れでもらえませんでした(涙
今回もネタバレ全開でやっていきたいと思います。
目次
機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島
ククルス・ドアンの島ってなんぞや?
機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島は通称ファーストガンダムと呼ばれる、TVシリーズ最初の物語15話のサブタイトル。
今回の映画はこのときの話を元にして安彦良和監督が作り直した新作作品です。
この回の話、いわゆる『捨て回』という感じだったらしく、当時アニメーションディレクターをしていた安彦良和氏も完全丸投げノータッチだったらしいです。
ストーリーはなかなか良かったものの、作画崩壊回として有名でよくネタ扱いされてそれが心残りで今回の映画化につながったようです。
テレビ版との違い
テレビ版のリメイクとはいえ、設定から何からかなりの改変が加えられています。
共通するのはキャラクターの名前とタイトルだけと言ってもいいくらい。
大まかな違うところを挙げてみました。
ストーリー設定
まずストーリーですが、同じなのは最後のオチくらいでだいぶ大きく変わっています。
まず基本的にすべてが「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」準拠になっていること。
TVシリーズのガンダムではなく、安彦良和先生が漫画で書き直したORIGINがベースになっているため、キャラクターもメカニックも変わっています。
ストーリも2時間弱の話にするためにかなり盛られています。
テレビ版だと適当に設定された無人島なんですが、やはりそこはおかしいということで細かい設定がされています。
何もないはずの島にドアンと子供達、そして連邦やジオンが集まる理由もきちんと描かれていてできるだけ不自然でないようになっていました。
キャラクター設定
キャラクターはORIGINがベースになっているため、ホワイトベースクルーも変わっています。
テレビ版ではジャブロー戦から再び宇宙へ旅立つときに参加したスレッガー・ロウが、もうこの時点でホワイトベースにいます。
その代わり、リュウ・ホセイがいません。
キャラクターの性格も少し違う感じでした。
ジオン側のキャラクターも増やされて、ククルス・ドアンの元仲間達も増えました。
どうやら仲間達の間で色々あったような感じが描かれていますが詳しいことはわかりません。
ORIGINではククルス・ドアンの島の話自体がカットされていて、ドアンの過去の話などは小説版を読まないとわからないようです。
映画をみていてなんかこの辺モヤモヤしていて、もう少し掘り下げてくれてもよかったんじゃないかと思いました。
あと声優さん。
アムロ役の古谷徹さん、カイ・シデン役の古川登志夫さん以外は新しいキャストに代わっています。
あとシャア役の池田さんも少しでてますね。
TVシリーズ時のキャストの方は亡くなられたり、現役から離れた方が多いので全部オリジナルキャストというわけにはいかないとは思っていましたが、古谷さんと古川さんは声が現在も比較的変わらず演技されてるのは凄いと思いました。
メカニック設定
メカニックもORIGIN準拠。
まずメインのガンダムはORIGIN中期型仕様になっています。
若干武装が減ったバージョンみたいな。
メカニックはほぼCGアニメらしいのですが、あの40年前の初代ガンダムが今の作画で蘇って動くというのは感慨深いものがありましたね。
連邦側のメカニックといえば物語冒頭からジムも出てきます。
もちろんやられ役。
あとガンタンクやGファイターといったものは出てきません。
コアブースターがすでにホワイトベースに実装されていました。
ジオン側はまずメインのククルス・ドアンのザク。
わざとテレビ版のデザインの狂ったノーズ長めのザクをオマージュされてデザインをされており、最新の作画なんですがちょっと変わった風貌をしています。
これはこれでかっこいい。
あと敵となるドアンの元部下達のサザンクロス隊が操る高機動型ザク。
これがほぼ動きがドムでしたねw
ザクのくせにホバー移動早すぎw
デザインはかっこいいんでプラモ出たら買いたいです。
ストーリーとその感想
さてストーリー。
オデッサ作戦のための最後の補給を受けるため、ベルファストに向かっていたホワイトベースに「帰らずの島」と言われる無人島への残敵掃討任務がくだるところから始まります。
残置諜者(わざと敵地に残って活動する情報員)捜索をするアムロ達がみたのは人が住んでいる形跡と子供達、そして1機のザク。
ザクとの戦いで気を失い、ガンダムを隠されるアムロ。
そこで会ったククルス・ドアンという男と子供達と交流がはじまり……
とまあそんな感じで物語が進んでいきます。
なぜ無人のはずの島にドアンは子供達と住んでいるのか?
何もないはずの島に連邦やジオンがやってくるのはなぜか?
ネタバレなしだとここまでしか話せません。
ここからはネタバレ。
自分の戦闘のせいで巻き添えにして殺めてしまった人たちの子供を連れて軍を脱走するドアンというのはテレビ版も今回の映画も変わりなし。
ただテレビ版では匿っている子供が3人だったのですが、安彦監督の案で20名に増えています。
気になったのが、わずかながらの痩せた畑とヤギ1匹でこの育ち盛りの20名の子供と大人1人が毎日それなりの食事をとってるんですよね。
いや絶対食料足りないだろ!と心のなかで突っ込んでましたw
テレビ版では曖昧だった島の設定。
なにもないはずの島で事件が起きるようにするために理由付けをちゃんとしてあるのはなるほどと思いました。
今回はドアンがこの島にいる理由とジオンが攻めてくる理由に、核ミサイルの発射基地があるということになっており、これを巡ってザク対ザクの戦いが繰り広げられます。
核ミサイルの発射を止めるためにアムロとドアンは戦うのですが、ボロボロのザクに乗るドアンのザクが素早いこと素早いことw
ホバーで高速移動する複数の高機動型ザクの攻撃を、左右のジャンプで軽々と避けて同等の戦いをするドアンザク。
まあいいんですけど。
全体の感想
大まかな全体の感想としては、ファーストガンダムファンに向けての映画かなと。
ホワイトベースのクルーを劇場でもう一度観られるというのはやはり嬉しかったです。
ストーリーがものすごく面白かったというわけではないですが、ククルス・ドアンの島というファーストガンダムでも良くも悪くも話題になってた回を劇場用作品としてここまで仕上げてくれた制作スタッフに感謝したいと思える作品でした。
ファーストガンダム世代はとくに、現在のアニメーションクオリティでファーストガンダムをリメイクしてくれないかなーと思っている方がかなりの数いると思うんですね。
ORIGINのOVAでシャアの過去編まではアニメ化しましたけど、今作を観てORIGIN全部最後までアニメ化して欲しいとみんな思ったと思います。
安彦良和監督も声優の古谷徹さんも、インタビューで年齢的にファーストガンダムアニメはこれが最後のようなことを最初の頃は言ってらっしゃったみたいですが、舞台挨拶を重ねる中でやはり次を作りたいようなニュアンスの言い方に変わっていってたのを私は聞き逃しませんでしたw
実際企画をサンライズの上層部などにあげて制作・完成まで持っていくのに数年はかかると思います。
大変な事だとはわかっていますが、ぜひこの先の物語も作り続けてほしいと思います。
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